沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆糸満人が伝える参拝方法

沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆糸満人が伝える参拝方法©OCVB
昔ながらの沖縄に触れる旅行なら、旧暦行事が今も残る漁師町・糸満での長期滞在は魅力的ですよね。何度も沖縄を訪れる「沖縄通」な旅行者の方々には、地元の人々で盛大に盛り上がる海神祭や大綱引きが有名です。

沖縄旅行でこのような海神祭(糸満ハーレー)糸満大綱引きのような旧暦行事に親しむのであれば、その中心が白銀堂であることを知っておくと、より深く昔ながらの沖縄を感じることができます。

「白銀堂」は糸満を守る神様で、盛大な旧暦行事の日ばかりではなく、日ごろから糸満人(いとまんちゅ)の拝みの対象となってきました。

今回は、沖縄旅行で糸満の地を踏んだら訪れたい「白銀堂」についてお伝えします。沖縄旅行の安全を祈願し、守ってもらってみてはいかがでしょうか。

※糸満ハーレーについては別記事「ディープな沖縄旅行なら糸満ハーレー☆漁港でアヒル取り」でもお伝えしています。

沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆
糸満人が伝える参拝方法

 

白銀堂とは

白銀堂鳥居
©OCVB
海人(うみんちゅ・漁師)の町糸満で、白銀堂は豊漁祈願や航海安全の神様として、地元の人々に信仰されてきました。

春先の旧暦五月四日(ユッカヌヒー)では、糸満ハーレー大会で海人達が速さを競い、優勝者が勝利を奉納してきましたし、秋の旧暦八月十五日(ジューグヤー)では、白銀堂を前に糸満大綱引きが開催されています。

ただ、この白銀堂は金銭の神様とも言われており、地元の経営者も訪れる聖地です。

【 沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆隆起珊瑚 】
隆起珊瑚
☆ 白銀堂は沖縄の御嶽(うたき)のひとつとも言えます。鳥居と境内があり本州の神社のようでもありますが、神主は存在しません。掃除は地元のボランティアや地域の人々が行っています。

→ 「御嶽」とはイベと呼ばれるや、自然物を神様として祀っている沖縄の拝所で、白銀堂では「シロガネの御イベ」と呼ばれる隆起珊瑚が祀られています。

現在、沖縄の旅行者が白銀堂へ参拝する時には、大きな鳥居の門をくぐり境内へ上った先に赤瓦の屋根に守られたシロガネの御イベに参拝できますが、柵が設けられていて触れることはできません。

ただ賽銭箱がありますので、ここからお賽銭を投げることができます。

 

糸満に伝わる白銀堂の昔話

糸満に伝わる白銀堂の昔話
この白銀堂が金銭の神様としても信仰されるのは、海人になろうと西原から糸満へ来た「美殿(みどぅん)」と薩摩侍の物語のためです。

美殿は海人になるために薩摩の児玉宗左衛門からお金を借りてサバニ(船)を買い、海に出るのですが、天候の悪い日が続いて充分な漁ができず、お金を返す充てのないまま返済の日が来てしまいます。

【 沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆言い伝え 】

☆ 児玉宗左衛門が美殿の家へ訪れましたが美殿は家におらず、児玉宗左衛門が探し回って見つけた場所が、現代の白銀堂のある場所です。当時は海岸の岩穴でした。

→ 児玉宗左衛門は隠れている美殿に腹を立て刀を抜いて迫ったところ、美殿は慌てて弁明を繰り返し、こう言ったと言われています。
意地出ぬ手引き
意地ぬ出らー手引き、手ぬ出らー意地引き」(意地がでたら手は引っ込め、手が出るなら意地は引っ込め)

この言葉に共感をした児玉宗左衛門は刀をしまい、返済の猶予を与えました。

そして児玉宗左衛門は薩摩の家に帰りましたが、家路に着いた時にはすでに夜遅く…、児玉宗左衛門は家族に迷惑を掛けないよう、静かに家に入り寝床に付こうとしたのです。

ところが、その寝床には妻と男が、一緒に枕を並べています。

【 沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆意地ぬ出らー手引き 】
布団
☆ 児玉宗左衛門はとっさに怒りにかまけて、寝床の妻と男に刀を振り上げたその時です。美殿の言葉を思い出しました。

意地ぬ出らー手引き、手ぬ出らー意地引き」(意地がでたら手は引っ込め、手が出るなら意地は引っ込め)

→ 刀を持つ手を引っ込めた時、寝ていた妻と男が起きてきます。そして児玉宗左衛門は、つくづく「手を引っ込めて良かった」と、美殿に感謝をしました。

…と言うのも妻と寝ていた「男」は、男装をしていた児玉宗左衛門の母だったからです。嫁が誰かに襲われることのないよう、男の恰好をして共に寝ていたことが分かりました。

【 沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆金銭の神様の由来 】
金銭の神様
☆ 来る延長した返済日、美殿はキッチリと返済するお金を用意して児玉宗左衛門を迎えましたが、美殿に恩義を感じた児玉宗左衛門はそれを受け取ることはしません

→ そこで二人で美殿が隠れていた洞穴にお金を埋めよう、と言うことになりました。

…この昔話から、白銀堂は金銭の神様としても信仰されています。ですから沖縄旅行者も金銭成就のために訪れる白銀堂ですが、人柄と共に成長する財運の神様とも言えます。

 

白銀堂の拝み方

拝み方
糸満に滞在する沖縄の旅行者であれば、最初に白銀堂に挨拶をすると、その旅の安全を守ってくれるかもしれません。

【 沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆自己紹介と挨拶 】
住所と干支
☆ 挨拶では、住所と干支、名前を伝えることで神様がその人が分かると言われています。夫婦であれば、妻は「結び」と表現します。例えば…、

○○県○○町○○番地の〇から来ました、山田昭夫(仮名)とその結び、花子(仮名)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」

…と言った具合です。

大切なのは心ですので、形式に捉われる必要はありませんが、ある程度は倣っておくと気持ちも穏やかになります。

そして那覇市の波の上宮や沖宮、斎場御嶽などのその他の御嶽や拝所を訪れるようであれば、「これから○○へ行きますので、お繋ぎよろしくお願いいたします」と伝えておくと、「紹介」をしてくれるとも言われていますので、試してみてはいかがでしょうか。

 

白銀堂を参拝する注意点

さまざまなイビ
実は白銀堂にはさまざまなイビがあります。

赤瓦の屋根に守られた隆起珊瑚(シロガネの御イベ)の社の左脇には、さらに鳥居が設けられていて、その奥には多くのイビが並んでいますし、駐車場スペースにも、階段を上ると小さな祠が並ぶエリアを見つけることができるでしょう。
左脇鳥居
時には、このようなシロガネの御イベ以外の祠へ向かって、地元の人々がお供え物を並べて拝んでいる様子に、出くわすこともあるかもしれません。

【 沖縄旅行で訪ねる白銀堂☆参拝の注意点 】
拝み中
☆ どのイビ(拝み処)も地元の人々を守る神様ですが、長期滞在の沖縄旅行で日々白銀堂に拝んでいたり、地元の人々に紹介されない限りは、あまり積極的に奥深くまで進むことはおすすめできません。

→ また地元の人々が拝んでいる時には、静かに遠くから手を合わせて妨げないようにしてください。

ただし、駐車場スペースのトイレ前にある祠は弁財天様です。そっと手を合わせて拝んでも問題はありません。
駐車場スペース
また鳥居から入ったら、そこは神聖な場所であることを理解してください。その場にあるもの全てが神様だと言われています。ですので、この場所の石や草木などは持ち帰らないようにしてください。
 
 
シルカビサン
いかがでししたでしょうか、今回は昔ながらの沖縄を堪能したい旅行者に人気の糸満、旧暦行事の中心地となっている白銀堂についてお伝えしました。

糸満では今でも昔ながらの参拝方法に基づいた拝みが残っています。細かくお伝えすると切りがありませんが、お賽銭の他にも「ヒラウコー」と呼ばれる沖縄のお線香を、「シルカビ」と呼ばれる白紙の上に置いて供える拝み方もあります。
ヒジュルウコー
(火を付けることは燃え移りが危険なので、火を付けずに白紙の上に置いて供えるのみにしてください。)

このような昔ながらの沖縄の拝みの道具も、地元スーパーなどで普通に売っていますので、沖縄の糸満に旅行に来た時には、一度スーパーでチェックしてみてはいかがでしょうか。

☆ 白銀堂近く、糸満エリアの沖縄そば屋さんなどもご紹介しています。別記事「【沖縄の長期旅行】糸満人が通うローカル&美味しい沖縄そば」などもご参照ください。

スーパーでチェック
まとめ

白銀堂の由来と拝み方

・糸満の豊漁、航海安全、金銭の神様
・「シロガネの御イベ」と呼ばれる隆起珊瑚がある
・意地ぬ出らー手引き、手ぬ出らー意地引きの伝説
・徳を積むことで金銭を積み上げる神様
・挨拶では、住所と干支、氏名を伝える
・他の神様を参拝する時には、先に挨拶をする
・あまり奥深くまで積極的に進まない方が良い
・地元の人々が拝んでいる時には妨げない
・お線香は火を付けずに、白紙の上に置いて供える

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